テーマ:インターネットで集める創業情報 ~同業の事例やデータベースの活用法を知ろう~
講師:長野県短期大学非常勤講師 西入 幸代さん
(NPO法人 上田図書館倶楽部 情報サービス部会長)
日程:平日コース 7月26日/週末コース 8月5日
創業スクール2回目の講義は、インターネットやデータベースの効果的な活用法がテーマ。
講師は長野県短期大学で情報サービス論を教える西入幸代さん。
講義会場の上田情報ライブラリーを拠点に、ビジネスや文化活動に図書館活用を提案する
NPO法人「上田図書館倶楽部」でも活動されています。
[講義の概要]
1.インターネットで創業情報を集める
2.図書館のデータベースを活用する
[1.インターネットで創業情報を集める]
年齢や業種を問わず、パソコンを使った情報収集や発信は創業に必須、と話す西入先生。
とりわけ講義1の[創業に必要なプロセス]で学んだ事業アイデアの創出には、
インターネットを使った情報収集が役立つそうです。
例えば、自分の事業と他社の差別化を図るためには、同業の事例を知る必要があります。
他にも業界の動向やトレンドを調べたり、起業家の経験談や悩み、不安への対処法などは、
インターネット上で多くの情報を見つけることができます。
受講生は西入先生のレクチャーを受けながら、パソコンを使って実際に情報を集める演習に
取り組みました。
前半は、私たちが日常生活でもひんぱんに使うインターネットでの情報収集です。
検索したいキーワードを入力しても、膨大な数のヒットが出て必要な情報にたどり
着けない…というのは、誰でも経験があるはず。西入先生は「効果的な結果を得る
ためには、語句を変えたり検索条件を設定することが大切」と言います。
仮に美容師として独立を考えていた場合、「美容師/創業」と「美容業/起業」では、
類似する言葉でも検索結果に違いが出ます。こうした性質を踏まえて、ひとつの
キーワードに関連した語句を組み合わせて検索すると、求めている情報が見つかり
やすくなるそう。
またGoogleの「ツール」タブを活用することで、日本語で書かれたページや情報の
更新時期などを絞り込むことができます。「設定」タブを使えば、より詳細な条件を
指定して探すことも。
ドメインを「go.jp」に限定して検索すれば、公的な補助金や免許など行政の情報
のみが抽出できます。
受講生はそれぞれ興味のあるキーワードで検索した結果を、用意されたwordファイルに
コピー&ペーストしていきます。
「コピー元のURLと合わせた情報を蓄積していくことで、後から見直したり、
より深く知りたくなった時にも便利ですよ」と実用的なアドバイスもありました。
[2.図書館のデータベースを活用する]
インターネットは誰もが使える反面、そこにある情報は玉石混交。上田情報ライブラリーには、
より正確で客観的な情報を得られる新聞や専門誌、法律、百科事典などのデータベースを
備えています。
その規模は県内でも有数で、しかも登録・受付をすれば無料で利用できるそう。
講義の後半では、このデータベースを使って創業したい業種や同業他社の動向、興味のある
企業の経営者のプロフィールなども検索しました。経済紙や地元紙のデータベースでは、
業界内での事件や製品のリコール事案など、マイナスな情報も得られるのが利点。
「トラブルになりやすい事例を先に知っておくのも、創業前の大切なステップです」
と西入先生。
上田情報ライブラリーは、ビジネスに特化した市立図書館として、データベース利用を始め、
仕事や資格関連の書籍が充実しています。ビジネスセミナー開催やインターネットの利用、
パソコン操作のサポートも行っているそう。創業を考えている人には、心強い場所ですね。
講義の終盤、西入先生からは「今日調べた情報の中で、気になるフレーズがいくつかあったと
思います。これらを整理・分類しておけば、創業計画書を書く時にも大きな助けになるはず」
とアドバイスがありました。
情報を蓄積するだけでなく、分析し活用することで、創業アイデアの肉付けにつながることを
実感した回でした。
次回の講義は
「開業届の出し方と、開業に関わる税金 ~創業に必要な手続きと税金について学ぼう~」
です。お楽しみに!
(office晴文堂 山本里つ子)