<テーマ>
自分の顧客となる像をより鮮明にする【ペルソナ設定】
<講師>
株式会社はたらクリエイト CCCO
「うえだ家族」編集長/「長野のこのへんサンライン」副編集長
金 久美さん
<日程>
2021年11月30日(火)9:30~12:30
女性のための創業スクールを2年ぶりに開催しました。
コロナ禍で変化した「働き方」。オンライン・リモートワーク時代突入で、女性
の働き方の選択肢としての“創業”を考えます。
6日間で、創業について体系的に学べるようなプログラムを組みました。
創業に興味がある方、創業している方などに受講して頂き、創業とは何か・
どのように進めていけばいいのか、先輩はどうやって創業したのか、どの
ように自分のやっていることを広めていけばいいのかが、全ての回に出ると
分かるようになっています。
今回は、気になる回のみの参加、全回参加を選べるような設定にしました。
それから、創業というと1人で進めていくことが多く、“孤独”を感じると
いう先輩起業家の方からの情報を基に、同じ志を持つ受講者同志が交流できる
ワークショップなども多く取り入れました。
第5回のキーワードは、“世界でたったひとりのあなたに届けたい”です。
講師は、はたらクリエイト自社のブランディング戦略の立案・実施、認知を
広げるためのマーケティングを担当している、金さんです。
[講義の概要]
1.チェックイン
2.ペルソナとは?
ワーク①コンセプトシートの作成&共有
3.ペルソナの必要性
ワーク②ペルソナの設定
ワーク③インタビューで深ぼる
4.ワークのまとめ
5.コンセプト&ペルソナの共有
[1.チェックイン]
今日は創業スクール5回目なので顔なじみの方もいますが、3時間1つの
チームとして時間を過ごしていくに当たり、みんなの状況はどうかな~・
気持ちはどんな感じかな~ということを共有するために、チェックインから
始まりました。テーマは「今日の気分を天気であらわすと…?」
受講者は一人ずつ話し、曇りのち晴れ、穏やかな秋晴れなど、創業スクールで
刺激を受けて勉強できる楽しさや、少しずつ前に進んでいる気持ちなどを
あらわしてくれる方が多くいました。
[2.ペルソナとは?](ワーク①コンセプトシートの作成&共有)
ペルソナとは、商品やサービスを使用する仮想的な人物像です。こんな人に
使ってもらえたらいいな、こんな人が使ってくれるんじゃないかということを
仮想としてイメージする人物像のこと。語源は仮面という意味があります。
化粧品を作ると仮定した場合、性別・年齢・仕事・収入など、使ってくれる人の
ことをしっかり考えていくことが重要となります。例えば、性別などによって
商品や使われるサービスは異なるからです。言い換えると、ペルソナとは「誰に届け
たいのか」を深く考えることだと金さんは言います。
そして、今日のテーマ「ペルソナ設定は「愛♡」である!」です。愛です!!と
言い切る金さん。起業する上で、誰かに何かを届けたい・誰かに幸せになって
もらいたいという想いに焦点を当て、その想いを言語化・形にするという
お手伝いができたら嬉しいと話します。
この回の“ゴール”は、誰に届けるかぼんやりしていることが、こういう人に
届けたい!とより明確に落とし込めるようになること。
〈ワーク①コンセプトシートの作成&共有〉
準備している・考えているサービス・商品について、コンセプトシートに下記の
内容に関して書き込むワークを行いました。
・サービス・商品名
・コンセプト
・発想のきっかけ
・詳細・仕様
・誰に届けたい?
何で起業するのかまだぼんやりしている人は、仮に自分が商品を作るとしたら、
愛用している商品・サービスを自分で作るとしたらと仮定して考えました。
「誰に届けたい?」という部分がまさにペルソナに当たる部分ですが、
ざっくりとした内容はターゲットと呼ばれるもので、これをより細分化していく
ことが“ペルソナの設定”と呼ばれているもの、頭の中にある誰に届けるのかを
さらに細かく設定していくことです。妄想とか発想を楽しんでください!
と話す金さん。
[3.ペルソナの必要性](ワーク②ペルソナの設定、ワーク③インタビューで深ぼる)
「誰に届けるのか」考えたのに、さらに細かく設定する必要ってあるの?
商品やサービスを考えた時に、あれもいいな・これもいいなと考えがブレたり、
悩んでしまい“ペルソナ”を明確に設定しないと誰の心にも刺さらないといいます。
とっても気に入っている愛用品を思い浮かべてください。なぜそれを気に入って
愛用しているかも考えてみてください。あれでもなくそれでもなく、これが
「わたしのための商品だと思って手に取る」これがペルソナを細かく設定する
ポイントだと金さんは熱弁します。ぼんやりとターゲットを設定すると、色々な
人に広く浅く薄く広がる可能性はあっても、誰かひとりのために届く商品には
なりにくいと。ペルソナを設定する時は、「世界でたったひとりのあなたに
届けたい!」という気持ちがすごく大事!だといいます。
〈ワーク②ペルソナの設定〉
「世界でたったひとり」を考えるためのペルソナシートを作成するワークを
行いました。ペルソナシートには下記の内容を書き込みます。
∵基本属性∵
年齢/性別/居住地/家族構成/職業/年収
∵行動属性∵
趣味/情報収集/休日の過ごし方/価値観
ポイントは、届けたいと思っている誰かがリアルに近くにいれば、その人を
想像することだと金さんは言います。例えば、保護者仲間のハヤシさん・
昔からの友達のヒロコちゃん・ご近所のハラさんなど。
妄想力を爆発させて書いてほしいと金さん。
グループワークでは楽しそうに話していて、話すことでペルソナシートが充実
してきていると感じました。このように誰に届けたいのかを属性で区分して
落とし込むのがペルソナシートです。
〈ワーク③インタビューで深ぼる〉
今回の講座では、さらに!さらに!!掘り下げようと思います!と金さんは
しみじみと言います。なぜ掘り下げるかというと、ペルソナを設定して終わりと
なりがちだからです。ペルソナを設定したことで満足して、ペルソナを設定したし、
これでサービスも開発できるし、商品も売れるかもしれない!と思い込んでしまう
ことがペルソナの罠だといいます。ペルソナを設定して自分の商品・サービスに
落とし込むことが大事で、それを考える上で重要になるのが、色々な企業も
行っている、商品を使ってくれた人への“インタビュー”や“調査”です。
そこで、グループでインタビューを取り入れながら、使っている人がどんな気持ちで
どんな想いで生活しているのか、深層の部分(インサイト)に想いをはせるような
ワークをします。3人1組のチームで協力し合いながら進め、役割分担は下記の
通りです。
・商品・サービス開発者:俯瞰してメモをとる
・インタビュアー:項目通り取材をする
・ペルソナになりきってもらう人:インタビュアーの質問に答える
演技力と想像力と妄想力が必要なワークでした。このワークは考え方の練習なので、
今日と同じように、また違う形で練習することが大事だと金さんは話します。
自分が考えていたペルソナとは違う考えが出てきて新鮮だったという感想が
ありました。自分の思い込みという枠から外すことができることが、インタビューの
特徴です。
[4.ワークのまとめ]
最後に、準備しようとしている商品・サービスが「ペルソナの生活でどう使われて
いるか?」想像するワークがありました。商品・サービスがペルソナの生活にどう
馴染んでくれたらいいか、どう使ってもらえたら嬉しいかを考えました。
[5.コンセプト&ペルソナの共有]
ペルソナを深ぼって、ペルソナが考えていることに触れて、ペルソナの生活で
どう使ってもらえたらいいか、今まで行ってきたワークを基に1人ずつ発表
しました。
今日のペルソナの設定で、自分の商品・サービスをもう一度見つめ直したい、
見えてきたものを商品・サービスに取り入れたいということが見えてきた方も
いるのではないでしょうか。
ペルソナは一度設定して終わりではなく、
「ペルソナの設定」⇔「顧客へのインタビュー」
この繰り返しで、作りたい・届けたいと思っていることがさらにブラッシュアップ
され精度が上がっていくと金さん。
最後に「世界でたったひとりのあなたに届けたい♡」心の中にある愛を言語化
することの重要性を伝えて講義は終わりました。
「インタビューはなかなかできないので本当に貴重な経験ができた」「自分が
思い描いた人物像と他の人が感じる人物像の違いに気づけ、自分になかった
ペルソナ像がでてきた事・知れた事が良かった」など、さまざまな感想が
出されました。
「女性のための創業スクール #創業を自分事にする6日間」第5回のレポートを
お届けしました。
次回はいよいよ最終回【顧客と「つながり」、顧客を「獲得する」ためのSNS広告】
です。お楽しみに!
上田市創業支援プラットフォーム/
一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC) 尾島彩