テーマ:集客&成果につながる!ビジネスブログ・Instagram レッスン
講師:合同会社キップル マーケティングプランナー 吉田 達矢
日程:7月11日
創業を考えている、またはすでに創業した女性が、経営者に求められるスキ
ルやノウハウを学ぶ「女性のための創業スクール」。2018年度の新講座「S
NSコース」では、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を使った実
践的なPRやカスタマーサービスを全6回のカリキュラムで学びます。
第2回からは、いよいよSNSでの効果的なPR方法を考える講義がスタート。
講師の吉田達矢さんは30年以上大手企業などの広告制作に携わり、現在は
ウェブを軸にマーケティングプランナーとして活躍されています。今回は、
誰もが情報発信できる時代だからこそ重要になるPRの戦略と、マーケティ
ングの考え方について学びました。
[講義の概要]
1.「誰に、何を、どう伝えるか」から考える
2.ビジネスブログとInstagramについて
[1.「誰に、何を、どう伝えるか」から考える]
ビジネスでSNSを活用するには、一方的な情報発信ではなく「情報の受け手
の共感を得る」必要があると吉田さんはいいます。
受け手の共感を得るためには、「誰に、何を、どう伝えるか」というストー
リーに自分の商品やサービスを落とし込み、PR戦略を立てなければなりません。
(1)誰に?を考える
自分のビジネスを伝えたい相手=ターゲット。マーケティングでは、ターゲッ
トは「商品・サービスを買う人(コンセプチュアル・ターゲット)」と、「商品・
サービスを周知したい人(コミュニケーション・ターゲット)」の2つがあり
ます。
自社の商品・サービスを全く知らない人に知ってもらう、興味を持ってもら
うのが“コミュニケーション・ターゲットへのPR”。日常の中で意識せずとも
目に入るマス広告や看板、タイアップ広告などがその手段として使われます。
コミュニケーション・ターゲットから一段階進んだ状態が、自社の商品・サー
ビスを買おうかな? 自分に必要かな? と考えているコンセプチュアル・ターゲッ
ト。この段階にある人には、実際の使用感や具体的な価格が伝わるブランドサ
イトやクチコミサイトで情報を提供し、購入の後押しをしなければなりません。
それぞれのターゲットに響く“ストーリー”を個別に作り、最適なメディアに
乗せて発信する→潜在的に自社の商品・サービスを求めている層にアプロー
チする機会が増える→コンセプチュアル・ターゲットが増える、というサイ
クルが生まれると吉田さん。
また、メディアをターゲットの年齢によって使い分ける(若年層にはWEB、
シニア層なら紙媒体やマス広告が接触頻度が高い)のも大切だといいます。
(2)何を? を考える。
ターゲットに伝えたいこと=自分のビジネスの価値。ものやサービスの価値
も2つに大別できます。
①機能的価値(機能価値)
商品やサービスの性能・スペックによってもたらされる価値。洗剤ならば付
着した菌を●%除菌、サービスなら100円ごとに●ポイント進呈! など。明示
しやすいぶん競合他社との差別化は難しく、価格競争におちいりやすい。
②情緒的価値(情緒価値)
商品やサービスを体験したときに得られるポジティブな気持ち。洗剤ならば
室内干しをしたのに臭くない、サービスなら対応がとてもよかった、快適だっ
たなど。お金で換算することができないぶん、自社の商品・サービスのファン
を獲得する(=ブランディング)には欠かせない価値。
吉田さんによると、広告は、商品・サービスの情緒的価値を可視化する(目
に見えるように表現する)ことが大きな役割であり、見る人の感覚・感情に
訴える広告ほど効果が大きいといいます。
③レコメンド(自己表現価値)
車や腕時計、住宅、評判のレストランなど、その商品やサービスを所有、体
験する自分自身の価値も上がったように感じられること。自分が手にする商
品やサービスで、自己実現を図る。SNSで「こんなところに行った、こんな
ものを食べた」と情報発信するのは、自己表現価値をアウトプットしている
と言える。
(3)どう伝える?を考える。
情報の伝え方には①広報宣伝、②広告、③販促の3パターンがあるそう。そ
れぞれに伝えたい価値とマッチする組み合わせがあります。
①広報宣伝×機能的価値
自社の商品・サービスが「ここに売ってる、こんな機能を持っている、値段
はいくら」といった情報を、エンドユーザーにプッシュするのが広報・宣伝。
目には止まるが、購買・利用につながる行動喚起は生まれにくい。
②広告×情緒的価値
自社の商品・サービスを利用した人が「おいしかった、楽しかった、お得だっ
た!」という感情、体験をターゲットに共有するのが広告。見る人に「おい
しそう、楽しそう、買ってみたい!」と行動を起こさせるきっかけになる。
映像や画像を共有しやすいSNSは、この「共感→行動喚起」が一番得意な分野
だといえる。
③販促×機能+情緒的価値
お試しキャンペーンやセールなど、自社の商品・サービスに対する接触機会
の拡大が販促。コミュニケーション・ターゲットの獲得が目的であり、その
後継続的に情報を受け取ってもらうことが大事。SNSでの販促情報発信も、
あくまでコンセプチュアル・ターゲットを徐々に増やすのが目的。
ちなみに自己表現価値をPRするには、顧客サービスを充実させる(サンキュー
レターや購入後のクーポンなど)のがいいそうです。
[2.ビジネスブログ・Instagramについて]
WEBでの情報発信が大きな力を持つ現在、ビジネスブログは公式ホームペー
ジと同様の機能を備えておくことが大事だと吉田さんはいいます。企業名、
業務内容、商品やサービスの紹介、アドレスなどの固定情報を表示しやすく、
過去の投稿もさかのぼって検索しやすいブログは、自社の商品やサービスに
興味を持ったコンセプチュアル・ターゲットが情報収集のために接触するもの。
SNSと親和性のある情緒的価値だけでなく、購入を検討するターゲットが必要
な機能的価値の情報を得られるように、意識してコンテンツを作ることが大切
です。また、現在はスマートフォンでWEBサイトを閲覧する人が多いので、ブ
ログ画面をスマホ対応にしておくことも重要です。
いっぽうでInstagramやFacebook、ツイッターなどのSNSは、今日、今という
「リアルタイム」に対して共感・共有を求めるツール。とりわけインスタグラ
ムは画像が主役なぶん情緒的価値を伝えやすい、と吉田さん。「誰に(どんな
ターゲットに)、何を(どんな価値を)伝えるか」というストーリーを意識し
て画像を投稿すれば、自社の商品・サービスの広告として十分に機能するとい
います。
なお、広告として機能させるには、ターゲットが検索キーワードとして使う
「ハッシュタグ」を意識・活用すること、自分のアカウントのフォロワーを
増やすのでなく、投稿の閲覧数(インプレッション数)を増やすことを重視
することが大切。そのためには自分のアカウントの「プロフィール画面」を、
商品・サービスの情報の玄関口として整えることが欠かせません。基本情報
の他、運用しているビジネスブログやFacebook、公式ホームページのリンク
も忘れずに記載しましょう。
ちなみにInstagramでは「ビジネスアカウント」に設定すれば、アクセス数
や自分の投稿に対するインプレッション数を確認できるそう。
今回の講義はマーケティングの専門用語や概念も多く登場しましたが、吉田
さんの軽妙なトークに乗ってグイグイと内容に引き込まれた回でした。
次回は「仕組みがわかる! 仕事で使える! はじめてのFacebook」です。
お楽しみに!
(office晴文堂 山本里つ子)