テーマ:プレゼンテーション
~顧客・支援先・金融機関に伝わる! 創業に必要なプレゼンスキル~
講師:株式会社間島宣伝事務所 代表取締役 間島賢一
日程:平日コース8月30日/週末コース9月23日
女性のための創業スクール5回目の講義は、自分の事業を外に向かって発信するための
プレゼンテーション技術がテーマ。どんなに素晴らしい事業でも、誰にも知られていな
かったり、きちんと内容が伝わらないと上手くいきませんよね。
講師は、広告などのデザインプランナーとして長年活躍されている間島 賢一さん。
今回の講義では「人の心を動かす」PR手法を教えていただきました。
[講義の概要]
1.マーケティングってなんだ?
2.伝わる、共感できる。心を動かす技術
3.パワーポイントで“伝わる”企画書を作る
[1.マーケティングってなんだ?]
これまでの講義でも登場した「マーケティング」。商品やサービスが売れる“仕組み”を
考える作業ですが、間島さんは「お金を払う人に対して、その人が求めている“価値”を
提供することがマーケティング」だと話します。自分の商品・サービス・技術は、お客
様が求めるものにふさわしい価値を持っているか?を考えることが大切なのです。
自分の事業の価値(商品・サービス・技術)を発信するには、2通りの方法があります。
ひとつは「プロダクトアウト」。こんなにいいものができた、だから買ってください!
とPRするやり方です。開発が先で、商品が主体のため、売る方法は後から考えることに
なります。
もうひとつは「マーケットイン」。世の中や想定するターゲットが求めているものをリ
サーチし、それに沿った商品開発や販売を行います。
このマーケットイン手法に欠かせないのが「顧客視点」。お客様はどんな商品・サービ
ス・技術だったらお金を払いたいと思うのか、常に買い手の視点を意識する必要がある、
と間島さんは話します。
[2.伝わる、共感できる。心を動かす技術]
私たちは外に向かって情報を発信する際、自分の考えていることを「伝えたい!」と思い
ます。けれどその情報を受け取る人に、あなたの考えが全て伝わることはなかなかありま
せんよね。そのギャップを埋めるためにも、顧客視点は重要です。
商品をPRする表現には、「セリングポイント」と「ベネフィティングポイント」という
ふたつのパターンがあります。
セリングポイントは、売り手・作り手の表現です。食べ物で例えるなら「この商品は〇〇の
素材を使って、△△に仕上げました。おいしいですよ」といった感じですね。
いっぽうのベネフィティングポイントは、買い手・利用者の表現。「〇〇が入っている、
おいしい△△が食べたい!」という、買い手の気持ちに沿った言葉で表されます。
この買い手の気持ちを想像する(=顧客視点)ことが、売り手の“伝えたいこと”を買い手
に“伝わる”情報として発信するための鍵となります。
「あれが欲しいとかこれが買いたい、という“心”が動くことで、実際のアクションにつな
がる。心って、脳の作用なんです。ベネフィティングポイントの言葉を使うことで、買い
手の脳に起こしてほしい行動をインプットすることができます」と間島さん。
ベネフィティングポイントの表現を体験するため、受講生は提示された写真の吹き出しに
登場人物の言葉を入れる「吹き出しコピーライティング」に挑戦。登場人物によって共感
できる表現が変わることや、対象者の背景を具体的にイメージする演習を行いました。
また間島さんは、広告宣伝のデザインや表現では、それに触れる人に“いかに共感してもら
うか”が大切だと言います。
「95対5の法則」をご存じでしょうか。人間が言葉にできたり目に見えるものから判断する
情報は、全体のわずか5%なのだそうです。残りの95%は、無意識や感じた印象、言葉に
できない感情などの「非言語領域」といわれる部分で認識しているのだとか。広告宣伝に
必要な“共感”は、この非言語領域で起きているそう。
共感にはいくつかの種類があります。「あるある、わかる~」と思える「同意的共感」の
他にも、笑ったり、泣いたり、美しいと感じるなど心が動かされる「感情的共感」、有益
な情報を他の人と共有したくなる「情報価値的共感」、誰かを尊敬したり応援したくなる
「称賛・支援的共感」などなど。
こうした“人が共感したくなる感情”を理解することで、伝わる表現にもバリエーションを
持たせることができるそうです。
加えて、SNSでのPRにも欠かせない“心を動かす写真”の基礎知識も解説。対象を際立たせる
トリミングやアングルの設定など、共感しやすくなる手法が紹介されました。
[3.パワーポイントで“伝わる”企画書を作る]
創業前には、サポートしてくれる人や金融機関に対して自分のビジネスをPRする機会が
増えます。もちろん創業してからも、事業のビジョンや開発した商品を発表する場面が
多々あるでしょう。こうした時に頼れるのが、「パワーポイント」などのプレゼンテー
ションソフトです。
間島さんによると、人間はパッと見て一度に記憶できる情報は7つが限度なのだそう
(心理学用語でマジカルナンバーといいます)。これに基づき、企画書は極力シンプルに
構成したほうが効果的だそうです。
具体的なコツは①企画書に目次をつける(話の流れが見通せる)、②カラフルな色使いは
NG。原則2色(大事なことは目立つ色、その他は黒)で作る、③長い文章は避け、文字量
は最低限にする、④まず結論を出し、その後“起承転結”の流れで構成して、結論を印象付け
る。など。
誰もが情報発信できる時代ですが、“伝わる表現”にはきちんと理由があるんですね。
間島さんが長年培ってきた具体的なPRスキルに、受講生の皆さんも釘付け。夢中で演習に
取り組む姿が印象的な回でした。
次の講義はいよいよ最終回、「独自のリーダーシップを発揮するための“パーソナルブランディング”」
です。お楽しみに!
(office晴文堂 山本里つ子)