テーマ:創業計画書作成 ~自分の思いを「創業計画書」に書き起こそう~
講師:あがたグローバル税理士法人 小林 藤子さん
(中小企業診断士・認定事業再生士)
日程:平日コース 7月19日/週末コース 8月5日
女性のための創業スクール・第1期が7月からスタートしました。1回目の講義は、
昨年度スクールのメイン講師を務めてくださった小林藤子さんが登場。
「創業って、具体的になにから始めたらいいの?」という素朴な疑問から講義が
スタートしました。
[講義の概要]
1.創業するメリット・デメリット
2.創業に必要なプロセス
3.創業計画書には何を書く
4.商品やサービスの売れる仕組み
[1.創業するメリット・デメリット]
創業したい!という気持ちと、うまくいくかな…という不安は、起業経験のある人
なら誰でも感じる心の揺れです。
まずは創業のメリットとデメリットを分析することで、漠然とした不安を取り除いたり、
創業に必要な準備を明確にしましょう、と小林先生。
●創業のメリット
・やりたいことが実現できる
・自分の考えで仕事を進められる
・「経営者」として見られる
創業のデメリットは、事業のリスクと心理的不安の2つに分け、対策を考えます。
●デメリット①リスク
・今より収入がダウンする可能性
・営業や経理など、苦手な仕事もやる必要がある
・同業他社との競争にさらされる
●デメリット②心理的不安
・お客さんが来ないかもしれない
・資金がなくなってしまうかもしれない
・家族に負担をかけてしまうかもしれない
リスクの対策方法は「お客様に支持される商品・サービスを作ること」だと小林先生。
ビジネスは弱肉強食でなく、“優勝劣敗”の世界。優れた商品やサービスを生み出すことが
大切なのだそうです。
いっぽうで心理的不安は、やってみなければわからないことばかり。漠然とした不安を
細分化していくことで、今やるべきことが見えてきます。小林先生は「悩む時間を、
人脈を広げたり、事業資金を貯めたり、家族と家事の分担を話し合うことに使いましょう」。
[2.創業に必要なプロセス]
段階を追って準備することで、ビジネスのスタート後につまづくリスクを回避します。
まずは「創業の決意」。なぜ創業したいのか、そのための自己資源(スキルや資金)は
あるかなどの現状把握をします。
次に「事業アイデアの創出」。自分の事業が他社とどう違うのか(差別化できているか)、
ニーズがあるか、時流に乗ったビジネスかを客観的に考えます。
続いて「事業計画書の策定」。自分の考えを書き起こすだけでなく、資金や売上についても
具体的に考えることで、自分のビジネスの全容を明確にします。
そしていよいよ「開業準備」。店舗や事務所の取得、改装、PR、仕入れなど、漏れのない
準備がスムーズな開業につながります。
[3.創業計画書には何を書く]
「創業計画書」は、創業する前に作成する事業計画書。作成することで「この商品・サービス
を売るために何をすべきか」という経営方針と、「どの規模まで目指すか」という数値計画が
第3者にもわかるようになります。共に仕事をするビジネスパートナーや雇用者、資金の借り
入れをする金融機関にとっても欠かせないものなのです。
講義ではワークシートを使って、実際に「事業計画書」を記入する演習が行われました。
事業の概要、創業の動機、販売戦略、その商品・サービスは同業他社と何が違うのか?
受講生は悩みながらも、自分の考えを整理しながら書き込んでいきます。小林先生からは
「簡潔に、でも読み手がワクワクするような、ストーリー性のある内容を心がけて」と
アドバイスがありました。
また、事業計画書には創業前と、開業してからの具体的な資金計画も求められます。
準備にはいくらかかりそうか、資金調達の方法は貯蓄か借り入れか。また日々の売上と
運転資金の見通しも立てることで、自分の事業に無理や破綻が生じていないかを検討します。
[4.商品やサービスの売れる仕組み]
世の中にあまたある商品・サービスに、なぜ“売れる・売れない”の差があるのか。
その答えは「お客様視点の売れる仕組みが整っているか」だと小林先生はいいます。
誰に、何を、どのように売るのか。講義では
・セグメンテーション(市場の細分化)
・ターゲティング(標的市場の選定)
・ポジショニング(商品・サービスの位置付け)をキーワードに、顧客選定の基礎を
学びました。
また、販売戦略の4要素
・商品(Product)
・価格(Price)
・流通(Place)
・販売促進(Promotion)
を踏まえた「マーケティング・ミックス」、他社との差別化を考えるための
「オズボーンの9チェック」など、売れる仕組みを考えるのに欠かせない知識も解説。
耳なじみのない単語も多く登場するなか、受講生の皆さんは一言も聞き漏らすまい、と
熱心にノートを取っていました。
創業する=経営者になること。創業がゴールにならないようにする(立ち上げた事業を
継続していく)ためには、自分の事業を客観的に見つめ、常にブラッシュアップする必要が
あります、と小林先生。
漠然と思い描いていた夢を具体的な「事業」に落とし込んでいく作業に、受講生の皆さんは
真剣な表情で取り組んでいました。
次回の講義は
「インターネットで集める創業情報 ~同業の事例やデータベースの活用法を知ろう~」
です。お楽しみに!
(office晴文堂 山本里つ子)