<テーマ>
知っておくと安心な開業後に必要な知識
<講師>
臼井 美紀さん
<日程>
2021年11月2日(火)9:30~12:30
女性のための創業スクールを2年ぶりに開催しました。
コロナ禍で変化した「働き方」。オンライン・リモートワーク時代突入で、女性
の働き方の選択肢としての“創業”を考えます。
6日間で、創業について体系的に学べるようなプログラムを組みました。
創業に興味がある方、創業している方などに受講して頂き、創業とは何か・
どのように進めていけばいいのか、先輩はどうやって創業したのか、どの
ように自分のやっていることを広めていけばいいのかが、全ての回に出ると
分かるようになっています。
今回は、気になる回のみの参加、全回参加を選べるような設定にしました。
それから、創業というと1人で進めていくことが多く、“孤独”を感じると
いう先輩起業家の方からの情報を基に、同じ志を持つ受講者同志が交流できる
ワークショップなども多く取り入れました。
第3回は、“先輩個人事業主としての目線”での開業後に必要な知識を
教えて頂きます。講師は、商業高校で全商簿記1級を取得され、長年様々な
企業で経理の経験を積まれた後、ご自身も個人事業主として活躍されている
臼井さんです。
[講義の概要]
1.確定申告って?
2.帳簿作成と会計ソフトの種類
3.領収書の整理術
4.確定申告までの流れ
[1.確定申告って?]
・そもそも確定申告ってなに?
・確定申告って、いつからしないといけないの?
・給与収入がある人の場合の確定申告は?
1年間の利益を計算して、税務署に申告・納税することが確定申告であるという
ことから講義がスタートしました。
金額の大小に関わらず、収入を得たら確定申告はするもの!と臼井さん。
所得(利益)-基礎控除48万円=課税所得
この課税所得によって納税額(所得税=国税)が決まるため、確定申告を
しなくても良い人がいますが、住民税(地方税)は払う必要があることも。
税務署へ所得税の確定申告をしておけば、自動的にデータが市区町村へ届き、
住民税の申告は不要となるので、所得税がかからなくても確定申告をしておくと、
住民税の払い忘れがなくなります。住民税の基礎控除が住んでいる場所によって
変わるため、確認しておくと良いそうです。
また、給与収入がある人の場合は、給与以外の1年間の所得金額が20万円を
超える場合、確定申告が必要になるといいます。つまり、給与以外の1年間の
所得金額が20万円未満であれば、確定申告しなくてもいいということなのですが、
住民税(地方税)の申告は必要になるため忘れずに申告しておくようにしましょう!とも。
[2.帳簿作成と会計ソフトの種類]
・確定申告に必要な帳簿の種類
・会計ソフトっていつから使ったらいい?
・会計ソフトって、何を使えばいい?
帳簿はもちろん付けた方がいいです!としみじみと話す臼井さん。青色申告や
白色申告がありますが、どちらで確定申告をするかによって、用意する帳簿が
変わります。また確定申告をする際は、確定申告書の作成も必要となります。
帳簿も付けて確定申告書も書かなければならない、とても大変に感じますよね。
しかし、会計ソフトに正確に入力していくと確定申告書が自動的に仕上がります。
また、銀行口座やクレジットカードのデータを自動で会計ソフトに取り込むこともでき、
入力の手間もはぶけるなどとても便利なため、収支が出始めたらすぐに会計ソフトを
使って欲しい!といいます。
会計ソフトには、クラウド型とインストール型があること、その違い、税制改正を
踏まえた選び方、さらに、臼井さんのオススメ会計ソフトや裏技まで繰り広げられ、
先輩個人事業主としての目線でのお話に目から鱗でした。
[3.領収書の整理術]
・どんなものが経費になるの?
・領収書やレシートの他、取っておくべき書類とは?
・領収書のない経費は?~出金伝票~
・売上金の管理法
・領収書の整理術
経費にできるかどうかの判断基準について、3つのポイントを紹介。
事例をまじえた詳しい説明、さらに“個人事業主”が主に使う経費の勘定科目一覧の
提示もありました。
確定申告する人はもちろん、確定申告するほどの利益がない人でも領収書類は
捨ててしまわず、利益がなかったことが分かるようにしておく必要があるので、
証拠となる書類(領収書類など)は7年間保存することが大事だそうです。
2022年1月より改正される電子帳簿保存法に従って、どのように証拠書類を
保存すると活用しやすいか、臼井さんの経験から生み出したファイリングの方法、
オススメのファイルや整理の仕方、控除証明書が届く時期の目安まで、
出し惜しみしない臼井さん。最後は、臼井さんが実際に書類保管に使用している
ファイルや古封筒を受講者へ見せてくれる場面もありました。
[4.確定申告までの流れ]
・起業しようかな?と思った時から確定申告までの4つのステップ
・確定申告までの年間スケジュール
・確定申告をスムーズにやるために
起業を考え始めてから確定申告まで、起業準備>起業>帳簿作成>確定申告、
この4つのステップに区切ってやるべきことがあると臼井さんは話します。
特に起業準備にかかった経費の領収書類は取っておき、開業日をいつにするか
決めることはとても重要との助言も。また、年間スケジュールでは、
必ず10月に帳簿の仮締めをして事業収支を把握しておいた方が良い理由に
ついてのお話もありました。
最後は、確定申告をスムーズにやるためのまとめをして、終了となりました。
[交流会]
講義後の交流会では、臼井さんの事業内容の紹介や、起業した経緯を聞くことが
できました。最初はコーチング事業で開業された臼井さんでしたが、まわりの
個人事業主のお知り合いから、経理について質問をもらいすごく分かりやすい!
と好評だったため、そこから口コミで臼井さんの評判が伝わり仕事が増え、
経理サポートでの事業を開始したそうです。講師業の専門総合サイトに登録し、
コロナ禍でオンライン講座の許可が出てからは、全国からの申込が劇的に増えた
といいます。それぞれの業種で総合サイトがあると思うので登録しようと考えて
いる人がいたら、講師(提供する)側として登録する前に、人気のある講座
(お店)がどのように運営しているのか、他者を知る意味でも一度のぞいて
みることをオススメしますと話す臼井さんでした。
交流会は時間が短く、受講者は臼井さんと交流する時間が取れませんでしたが、
講義修了後も会場に残り、熱心に臼井さんの話を聞いていました。
受講者からは、「領収書のまとめ方や、会計ソフトなど先に知っておいた方が
良いことが分かって良かったです。」「一番わからなかった起業前~起業後の
お金のスケジュールがとてもよく理解できました。」といった感想が出されました。
「女性のための創業スクール #創業を自分事にする6日間」第3回のレポートを
お届けしました。
次回は【先輩起業家のトークセッション&ネットワーキング(交流会)】です。
お楽しみに!
上田市創業支援プラットフォーム/
一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC) 尾島彩