\起業マインドアップ↗↗/イベントである「女性起業家との座談会~つながるTeaTime~」。座談会と交流会の二部構成。
座談会では、活躍している女性起業家を呼んで、起業の実態(コロナ禍での様子含む)を伺います。また、“創業に関する得意分野”を『テーマ』として話して頂くことが、イベントの肝であります。その後、参加者からの質問を受ける時間を設け、疑問に思っていることや気になることを質問し起業家に回答して頂くことで、参加者に起業したいという気持ちを高めてもらい、起業している方はうまくいかなくて困っていたけど少しヒントをもらえたと思ってもらえるような場にすることを目指しています。
また、座談会後に交流会を実施することで、『つながりを生み出す場』にもなれば嬉しいと考え企画しました。
ゲスト:野々村奈緒美さん(フォトグラファー・信州おやこさんぽ代表)
ファシリテーター:一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC) 尾島彩
開催日時:2021年9月1日(水) 13:30~15:30
開催場所:オンライン配信
<座談会>
座談会ではゲストである野々村さんの事業紹介スピーチと『テーマ』に関する話を展開。
終盤では、参加者からの質問に答える形で、様々な角度から話を聞きました。
>>目次<<
●自己紹介
●事業内容について
●起業から今に至るまで①②
●現在の働き方
●1ヶ月・1日のスケジュール
●SNSの使い分け
●お・ま・け
●自己紹介
東京都出身、夫の仕事の都合で長野県上田市に移住して5年目。1児の母。
大学では保育士や幼稚園教諭免許を取得する学校に通い、保育士として社会に出た後、子どもとアートに関心が膨らんだことをきっかけに、美大受験を試みて合格し3年次編入学しました。カメラではなく彫刻を選考していましたが、彫刻を含め色々なコンテストに出展したところ写真で複数入賞しました。
趣味 : おでかけ、旅行、漫画を読む、本屋や図書館に行く、形になるものを「作る」(こっぱ人形制作など)、そして「写真を撮る」
苦手・弱点 : ストレスに弱い、物忘れが多い、集団行動が苦手 など
※苦手・弱点の話はテーマトークにも繋がります。
●事業内容について
ここでは、フォトグラファーとして働く上で、仕事依頼元となる顧客についてお話して頂きました。
B to BとB to Cは半々位の割合で仕事をしています。新規の方:リピーターの方・定期的なご依頼を頂ける方=4:6で、リピーターの方・定期的なご依頼を頂ける方が多い状況です。
・B to B
-長野県内:出版会社、広告制作会社、企業紹介や繋がりでできた縁が多い
-長野県外:出版会社、WEB制作会社 ※コロナ禍後に増加(「長野県に行けないので」)ホームページからの問合せが多い
・B to C ※長野県に越してから開拓
-記念撮影:七五三・成人式など上田市街地呉服屋「ゆたかや」さん(外部委託契約)、ホームページやInstagram、出張撮影マッチングサイト「OurPhoto」(総合サイト)からの依頼が多い
-コラボ撮影:ベビーマッサージ これをきっかけに個別で撮影の依頼をもらうことも多い
・イレギュラーな案件
-撮影講座の講師
-ワーキングマザーとしての立場での執筆
-起業等の先輩としての講師
●起業から今に至るまで①
22歳 保育士時代:クラスの子どもを撮影(子どもとアートに関心が膨らむ)
24歳 美大時代:コンテスト入賞、個展、雑誌掲載など
写真学校からカメラマンになる方が多い中、私はイレギュラーで保育士から美大へ進み、そこでコンテストや個展等の経験から、写真作家としての活動が始まります。
26歳 写真作家時代:個展、パーティースナップ等イベント撮影、企業依頼
27歳 カメラマン業をメインに
イベント撮影で知り合った方が自分の会社の撮影をお願いしたいというところから企業依頼に発展することが増えてきて、27歳頃にカメラマン業をメインにしました。
30歳 結婚(別居婚) 東京で2週間撮影をし、上田市で1週間データ作業
31歳 妊娠を機に東京の定期的な仕事を手放す
30歳までは東京でのB to Bの仕事をメインに行い、31歳で妊娠を機に東京の定期的な仕事を手放しました。
32歳 出産・起業(開業届を出す) 長野県内で仕事をしたいとシフトチェンジ
32歳で出産を経験し、長野県内で仕事をしたいとシフトチェンジして、上田市で0からのスタートを切りました。AREC主催「創業スクール」を手伝っていたときに“開業届を出す”という流れがあることを知り開業届を出したので、開業届を出す=起業であれば起業は32歳です。それまでも確定申告はしていました。
35歳 コロナ禍 収入がとっても低い月があったので、持続化給付金を申請
35歳の頃、コロナ禍になり収入がとっても低い月があり、お金が減ることが不安やストレスになる性格(テーマトークに繋がります)のため、持続化給付金を申請しました。そして今に至ります。
●起業から今に至るまで②
・創業に関しての初期投資
はじめの機材は、祖父からプレゼントしてもらった一眼レフカメラを使っていました。仕事が増えるにつれて必要な機材も増え、仕事の収入で少しずつ機材を増やして、仕事のレベルアップを図りました。
・自分が不安になることは仕事がないではなく「収入がない」こと!
収入・お金がなくなることが不安であるという自分の性格を理解して、子育てもしてお金の不安もなく平和に暮らすやり方はないか試行錯誤をして、現在、自分にとってベストだと思える働き方ができています。
●現在の働き方
・カメラマン:メインの仕事。1件ごとの拘束時間が短く、娘と過ごす時間も作れます。
・代替保育士:保育士の資格を持っているので、上田市の代替保育士に登録し月に3~5回程度保育士としても働いています。「収入が0にならない」という精神的なお守り的な役割となっています。
・信州おやこさんぽ:フリーランスなので、お母さん達と触れ合う機会・情報交換する機会がないので、そういう機会になればと長野県のママ達と活動をしています。妊娠・出産中にフリーランスだと収入が減るので、その間に社会とママが繋がってちょっとした収入の機会になるように事業化をゆっくりですが目指しています。
・子育て:仕事ではないけれど、今の自分にとっては大きいものだと感じていて、共働きではあるが、子育ての部分は夫より自分の比重が大きくていいと思っています。マイルールとして、娘のお願いは極力守る、娘の体調不良時には自分が率先して休んでいます。
●1ヶ月・1日のスケジュール
どういう月のスケジュールになっているかの例と1日のタイムスケジュールを教えてくださいました。
撮影は7~10件、代替保育士4回ほど、撮影は雨などでずれたりしますが、これは平均的な頻度になっています。
朝は6:00前には起きていて、漫画を読んだりTwitterのトレンドを追ったりして過ごしています。忙しいときや締め切り前はパソコン作業をしたりしていますが、朝に息抜きをしています。でかける前にルンバの準備をして、出かけている間に掃除をしてもらっています。
8:30頃から夕方までは撮影やパソコン作業、打合せなど仕事をして、夕方以降は家事などをやっていますが、隙間時間にメールを返したり、信州おやこさんぽのことをしつつ21:30~22:00頃には寝ています。
●SNSの使い分け
どういうふうに仕事を得ているのですかと聞かれることが多いのですが、“紹介”や“繋がり”が多いです。そのきっかけになっているのは、SNSは基本的に顔を合わせた方とは気軽に繋がるようにしているということです。名刺交換の時など、例えば相手が起業している方だったらフォローしていいですかとお声がけしています。
すぐに仕事に繋がらないことは多いですが、不思議と2~3年後に名刺を思い出してとか、SNSで普段の活動を見てお願いしたいと連絡をもらうので、長い目でみてSNSはお仕事の依頼に繋がることが多いです。
ホームページやSNSは毎日更新するというのは性に合っていなくて、気が向いたらやっています。アーカイブの意味もあるのと、閉業をしていないと新規のお客さんに感じてもらえる程度には更新しようと意識はしています。
・ホームページ
新規依頼や県外からの依頼が多いです。B to Bの仕事をなるべく掲載し、Instagram風のデザインにして、スクロールして色々な写真を眺めやすくしています。
フォロワー数は少ないですが、県内のママからの依頼が多いです。掲載した写真を見て依頼がくることが多いです。
更新頻度が高く、自分にとってのアーカイブとしての意味も兼ねて使っています。昔の写真を探すときなども検索しやすいです。県内や県外の企業や団体の情報を知るためのツールとしても使っています。
新規の出会いはないですが、知り合いの方へのお知らせとして投稿しています。メッセンジャーのやり取りが多いです。
※LINE@は自分の性に合わずやっていません。
無理はせず、長く続けられるものを自分のSNSとして活用しています。
●お・ま・け
起業のヒントになるかもしれないということで、野々村さんのおすすめの本と起業の先輩たちの格言をたくさん教えて頂きました。その中でも20代の頃から気持ちが落ち込んだときなどに読んでいるという本をご紹介します。
【風姿花伝】「男時女時とてあるべし。これ、力なき因果なり」
仕事の調子がいいときと、どうしても仕事がこないときがあります。こないときの原因はあるとは思いますが、こない時期もある!しょうがない!という感じの意味なので、それに納得していて、その分勉強しようとか気持ちの切替に使っています。
>>テーマ<<
●「準備が8割」という心持ちで働くということ
●他者のペルソナを知り「引き算」から仕事を生み出す
●自分の特性を知り「ストレス基準」で考える
●「準備が8割」という心持ちで働くということ
フリーランスのライターの先輩から教えてもらった受け売りですが、何も下準備をせずに当日を迎えて、100%の力を出すというのはすごい天才じゃないと無理だということです。下準備をして当日を迎えることで、緊張していても80%の力を出せると言われていると教えてもらったので、私は緊張する性格なので、準備をしっかりして当日ちょっと失敗しても大失敗したにはならないようにという気持ちで準備をしています。
●他者のペルソナを知り「引き算」から仕事を生み出す
東京にいたときは気にしたことはなかったですが、長野県ではカメラマンの数は多くはないですが案件をそれぞれもっていて、そこに新規介入するということもあって、同じ仕事を重ねてしまうと仕事の取り合いになってしまうので、同じ地域でどういうカメラマンがいるかはSNSなどで情報を見て、他者を敬いつつなるべく被らずにかつ自分の仕事が展開できるように意識しています。
●自分の特性を知り「ストレス基準」で考える
自分の苦手なことを知るのも自分の適性な仕事を見つけるのに大事だと思っています。私は毎日同じ場所で同じ人と話して生活をするというのが窮屈に感じる性格で、1人で仕事をしてクライアントとコミュニケーションを取ってという今の形で落ち着いています。
仕事を始めてから、収入がなくなるのがストレスだと感じています。今は順調にお仕事を頂いていますが、コロナ禍があったり、仕事を頂ける確証はない仕事なので、気持ち的な保険として複業として保育士もやっています。
野々村さんの場合は、ストレス基準で創業することを選択したところ、また収入が減るというストレスを回避するために複業をしているところも、自分の特性を分かった上での選択であるということが分かりました。“好きなことをやる”という観点だけでなく、“ストレスになることはやらない”という観点からも創業を考えてみると事業が長続きするのではないかと、野々村さんのお話を聞いて感じました。
また、SNSの使い分けのお話、SNSとの付き合い方と言ってもいいと思いますが、とても参考になりました。野々村さんは、常に自分のことや仕事のことに対して、自分の視点でしっかりと分析することで、迷いなく自分の進むべき道を見つけ、切り開いている方なのだなという印象を受けました。
<交流会>
交流会では、参加者全員の自己紹介と、座談会で聞けなかった質問をする時間を設定しました。
オンライン配信もしているため、東京から参加してくださった方もいました。野々村さんは東京ご出身ですので、東京でのPR方法などに関しての相談にもお応え頂けました。
また、交流会の参加者の年代が多岐にわたっていたため、普段関わる事のない世代の方と交流ができた、情報を得ることができて良かったというご意見や世界が広くなったというご感想を頂き、大変嬉しく感じました。ありがとうございました。
今回は、全てオンライン配信に変更しての開催でした。ご理解頂いた野々村さんはじめ、参加者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
参加者の皆様には、背中を押してもらえた!うまくいかなくて困っていたけど少しヒントをもらえた、新しい視点で創業を考えられるようになったと感じて頂けていれば、イベントを開催した冥利に尽きます。
最後に、ゲストの野々村さん、たくさん時間を割いて資料作りをして頂き、大変貴重で学びの多いお話を本当にありがとうございました。
また、お話できる機会がありましたら嬉しいです。
今回で、3回シリーズでお送りしてきました「女性起業家との座談会~つながるTeaTime~」は終了となります。会場およびオンライン配信での開催となり、お聞き苦しいところなどもあったかと思いますが、ご参加して頂いた皆様、本当にありがとうございました。
先輩起業家や参加者同士が繋がれる交流会は、とても希望が多いので、今後も続けていけたらと考えています。また、次回開催する際には、皆様のご参加を心からお待ちしております。
ありがとうございました。
上田市創業支援プラットフォーム/
一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC) 尾島彩