テーマ:これで集客アップ! パワーポイントでチラシを作ろう!
講師:株式会社間島宣伝事務所 代表取締役 間島賢一
日程:12月2日
女性のための創業スクール・ステップアップ講座は、これまで学んだ基礎知識に加えて、
実践的なノウハウを身につけるのが目的です。第1回は広告などのデザインプランナーと
して長年活躍されている間島 賢一さんに、パソコンソフト「PowerPoint」を使ったチラシ
の作成方法を教えていただきました。
[講義の概要]
1.チラシという手段の特徴
2.チラシ作成に必要な準備
3.チラシデザインのワンポイント
[1.チラシという手段の特徴]
自社の商品・サービスをPRする広告。積極的に活用したいけれど、限られた事業資金の中
で運営する場合、多額のお金をかけてプロに依頼する広告宣伝はハードルが高いもの。
自分でチラシを作ることができれば、コストを抑えたPRが可能になります。PRには営業
活動や口コミ、SNSなどさまざまな手段があり、チラシもその手段のひとつです。
講師の間島さんによると、チラシには大きく分けて3つの配布方法があるそう。
①ハンドアウトチラシ
飲食店や人が集まる場所においてあるチラシ。配布の手間やコストは低いが、デザインに
よほど工夫しないと、持っていかれる可能性は高くない。
②新聞折込チラシ
新聞に挟み込まれるチラシ。狙ったタイミングで広範囲に配布でき、折込料は1枚3円(B4
サイズまで)とコストもほどほど。ただし配布枚数が多くなるので、印刷などの経費は相応
に必要になる。
③ポスティングチラシ
配布したいエリアやターゲット層(一戸建てか、アパートかなど)を限定して、各家の
ポストに直接配布できる。そのぶん、コストは1枚30~40円程度必要。また配布に時間が
かかるので、イベントの告知など賞味期限が短いPRには不向き。
チラシの配布方法は「なにを・誰に」PRしたいのかという目的と、かけられる経費を考え
て決めるのが大切だと間島さんは話します。
[2.チラシを作る前の準備]
女性のための創業スクール・講義5でも学びましたが、商品・サービスをPRする表現には、
「セリングポイント(売り手・作り手の表現)」と「ベネフィティングポイント(買い手・
利用者の表現)」というふたつのパターンがあります。買い手の気持ちを想像する(=顧客
視点)ことは、売り手の“伝えたいこと”を買い手に“伝わる”情報として発信するために欠か
せません。
チラシを作成する前に必要なのが、まず自分の商品・サービスを「ベネフィティングポイ
ント」で表現した「キャッチコピー」と「リード文」。講義では子ども向け英会話教室の
PRを想定した演習を行いました。
「子どもに英会話を習わせたいと思う親が、どんなことを望んでいるのか考えてみましょ
う。それがキャッチコピーの種になります。次に、習わせたい親の中でさらにターゲットを
絞り込みます。例えば“将来グローバルに活躍してほしい”とか、“低価格で英語に触れさせ
たい”とか。こうした対象を限定する言葉が、リード文の1行目。ここまでで読む人が
“あ、これは私のことだ!”と共感すれば、このチラシは全部読んでもらえる可能性が高く
なります」
続いて、チラシに使う「イメージ写真」を用意します。自分で撮影するのもいいですが、
手軽にキレイな写真を用意できる、著作権フリーの素材を活用するのがおすすめ。
下の二つのWEBサイトが便利だといいます。
どちらも「日本人/子ども/勉強」などのキーワードで検索できるため、イメージに沿っ
た画像が見つけやすいそう。画像を見ることで、アイディアが浮かびやすくなるメリットも
あるといいます。「ただし、あくまでも“顧客目線”に沿って、ターゲットの心情を意識した
画像を選ぶことを忘れないでください」と間島さん。
また、今は著作権などに対する意識が高まっているので、ネット上にある画像やキャッチ
コピーの無断転載は、プロ・アマチュア問わず絶対にNGです。
[3.チラシデザインのワンポイント]
用意できたキャッチコピー・リード文・イメージ写真の3つを使って、実際にパソコン上で
チラシを作る演習に挑戦した受講生。操作に不慣れな人もマンツーマンでサポートを受け
ながら、作成が進みました。
PowerPointはWordやExcelに比べるとレイアウトの自由度が高いソフトですが、デザイン
にはいくつかコツがあると間島さん。キーワードをいくつか挙げて紹介してくれました。
①Z型の法則
人間は紙に書かれたものを読む時、上から下へ「Z」の字を描くように視点を動かしてい
きます。情報を配置する時は、説明したいものを順番に、Zの線上に配置していくと、読み
手にストレスなく情報が伝わります。
長方形の紙を縦に使うか、横に使うかも「Z」の視線の流れがカギ。たくさんの情報を並列
して並べたい(例えば1週間分の特売情報が入ったスーパーのチラシなど)は、横長に使って
いる例が多いそうです。
②アイソレーションゾーン
チラシという限られたスペースの中で、PRしたいことをあれもこれも詰め込んだり、目立
たせようと装飾を多用するのは逆効果です。キャッチコピーやリード文の周囲に、文字の
大きさの1.5倍程度の余白(アイソレーションゾーン)を設けることで、核となるメッセージ
が引き立って見えます。
また、ひとつの文章は字間や行間を詰めることで、ひとつの意味を持ったかたまりとして認識
しやすくなります。
③色や書体を複数使わない
間島さんによると、人間はパッと見て一度に記憶できる情報は7つが限度なのだそう(心理
学用語でマジカルナンバーといいます)。チラシでカラフルな色や複数の個性的な書体を
使っても、それは読み手にとってノイズにしかならないと間島さん。「派手にしたい気持ち
をぐっと我慢して、引き算のデザインを心がけると格好よくなります」とのこと。
もし色を使うなら、自分の事業のイメージにあった色(コーポレートカラー)を先に決め
ておくといいそうです。
④チラシは両面を使う
ここまでの演習では、チラシでPRしたい情報の中でも厳選した「核となる伝えたいメッセー
ジ」だけを扱いましたが、実際のチラシではイベントの概要や、商品・サービスのメニュー
や料金なども記載する必要があります。そうした要素は裏面を活用して、と間島さん。表面
が手に取ってもらえるデザインであれば、裏まで読んでもらいやすいのだそう。
また、実際のユーザーの感想や顔写真をチラシに載せることは、企業や商品への信頼感を
演出するのに効果的です。(社会心理学でいう「社会的証明の原理」)
伝えたいことを「伝わるように作る」、広告デザインのプロ直伝のノウハウが詰まった
講義。受講生の皆さんも頭をフル回転させて課題に取り組んでいました。
次回のステップアップ講座は、「4大SNS・ブログを活用して集客につなげよう!」です。
お楽しみに!
(office晴文堂 山本里つ子)