Introduction先輩起業家紹介

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アトリエ ベール 田中 美和 さん

アトリエ ベール 代表

 

国内の大手アパレル会社で有名ブランドのパターン(型紙)を20年以上手がけたのち、フリーランスのパタンナーとして独立。NYコレクションをはじめ、国内外のブランドで活躍中。ARECのコーディネートで、信州大学繊維学部のアパレル研究にも協力。

---「パタンナー」って、どんなお仕事ですか?

デザイナーが考えたデザインをもとにパターン(型紙)を起こしたり、縫製工場が製品を作るための仕様を考える仕事です。どんなブランドも、ファッションショーなどで発表するのはモデルの体型に合わせた1点ものですから、デザインやイメージを損なわず、これを一般の人が着られるサイズに展開したり、ブランドの個性や元のデザインの印象を損なわずに量産できるよう工夫しています。

例えば、同じデザインで7号サイズと13号サイズの洋服がありますが、ただ単純にサイズを拡大しただけのパターンだと、きれいな着姿にはなりません。使われる素材が伸縮するものか、そうでないのか、縫い代の始末やステッチはどうするのかなど、細かな仕様も大きく印象を左右します。肩や腕、ウエストなど体型ごとの特徴をとらえながら、そのブランドの方向性に合わせたシルエットを表現するのが、パタンナーの技術でもあります。

---フリーランスのパタンナーとして、独立した理由は?

服飾の学校を出てから、東京で長年、企業の中でパタンナーの仕事をしてきました。その間にCADで型紙を起こす技術を身につけたり、パタンナーとしての経験を積んだので、ひとつの企業にとどまらず、さまざまなブランドやデザイナーの仕事をしてみたいなと考えました。ふるさとの上田に、たまたま繊維やアパレルのことを研究している大学があって、私の仕事に必要な機材がそろっていたことも大きいですね。ARECさんの紹介で、Fii(信州大学繊維学部 ファイバーイノベーション・インキュベーター施設)にアトリエを構えて、仕事をしています。

---上田にいながら、海外のコレクションにも携わる仕事をされているのがすごいと思います!

ニューヨークコレクションに携わるようになったのは、ファッション関連のSNSで、NYで「CADでパターンが引ける人を探している」とみつけ、コンタクトをとったことがきっかけです。海外にはまだ、CADの使える人材が少ないようなので。準備期間も含めて、そのときは3か月くらいはNYに滞在して仕事をしました。英語にはまったく自信がないんですが、仕事上の専門的なことなら、案外通じるものですね(笑)。

英語表記のパターン製作はマスターしました。今は世界のどこにいても、ネット環境があれば仕事ができますから、もっとネット環境を利用しながら仕事内容が充実していけばと思います。今後は、上田でしか作れない服や、上田らしい素材を使った服飾の仕事をやってみたいですね。